SHUZOくんの知恵袋

【第96回】遺産分割協議書の署名捺印を集めるのが難しいです

【質問】

私は40代女性です。先日父が亡くなったのですが、遺言書はなかったので、遺産分割協議をしなければいけないようです。ただ、母は施設に入院しておりコロナ禍で面会ができません。また。頭ははっきりしていますが手が動きにくいです。また、兄は遠方に住んでいてなかなか連絡がとれにくいです。相続人は全部で5人います。できるだけ急ぎたいのですが、どういうやり方で署名捺印を集めるのがいいのでしょうか。

【回答】

弁護士に一任するのが一番ラクですしスムーズだとは思いますが、費用をかけないように自分で対応する場合について以下説明します。

まず、遺産分割案を書いた書面を作成して、相続人全員に送りましょう。そして、電話でよいので異議があるかどうかを確認しましょう。異議がある人がいればどの点に異議があるのか、どういう内容だったらよいのかについて聞き取りましょう。そして相続人全員で協議内容を詰めていきましょう。全員が異議のない状態になったら、正式な遺産分割協議書を作成して全員に郵送しましょう。1枚の協議書に5人全員が連署するものを5部作成するというのが一番間違いのない形です。相続人全員が原本を保有するためです。

ただ、兄が遠方に住んでいる場合に兄の署名を待ってから行動するのは時間がもったいないようにも思いますよね。そういう場合には、遺産分割証明書というもので代用します。これは連署ではなく、5人それぞれが1人ずつ署名捺印するものです。これであれば同時並行で署名を集めることができます。全員分集めれば連署した遺産分割協議書と同じ効果を持つことになります。

最近は入院している人と面会できないことも多いですが、お母様は貴女の目の前で自署しなければいけないわけではありませんので、施設の方を介して署名捺印してもらいましょう。もちろん紛失には気をつけましょう。

お母様が手が動きにくいとのことですが、遺産分割協議書は当事者の協議の結果をまとめたものなので、遺言書のような厳しい自署性は求められていません。なので、例えば貴女が代筆するということは可能ですし、署名ではなく記名という形でも有効は有効です。ただ、相続人間の関係性によっては、後日無効を争われる可能性がないではないし、金融機関からは自署を求められる可能性もあります。ですので、できることであれば、自署がいいわけです。手が動かないという程度にもよりますが、可能な限りお母様に自署してもらうのがいいと思います。いずれにせよ、そのような状況を録画しておいたり、事情や経緯を遺産分割協議書に記入していくとなおよいでしょう。

(弁護士堤悦朗)

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